
世間では「公務員=優秀」だと思われているのはなぜ?

今回は、現役公務員がこのような疑問にお答えします。
この記事の内容
一般的に「公務員は優秀」と言えるのか
世間から「公務員は優秀」というイメージを持たれる理由
優秀な公務員になる方法
民間と公務員はどちらが優秀か
この記事の執筆者
キャリア5年以上の現役の県庁職員
民間企業から派遣された職員と同じ部署で仕事をした経験あり
総務課(県庁の中で「優秀」とされる部署)での勤務経験あり
この記事では、公務員として働き始めたあと、優秀な職員に囲まれて気まずくならないよう、公務員が実際どれくらい優秀なのかについてまとめてみました。
ぜひ記事の最後までじっくりと読んでみて下さい。
公務員は優秀なのか?

まずは、このことについてお答えします。

つまり、公務員は決して優秀な人が多くないけど、母集団としての最低限の質は担保されているのです。
母集団として最低限の質が担保される理由は、学力試験によるフィルタリングです。
もちろん、学力試験によるフィルタリングは、優秀な人材の確保を100%保証するものでは決してありません。
優秀な人もいれば、使えない人もいるという点は、民間企業と同じだと思います。
他の組織と同じく、公務員のどの組織にもパレートの法則がだいたいそのまま当てはまるのですね。
パレートの法則とは
成果の80%は、全体の20%の要素で生み出されているとする法則。
別名「働きアリの法則」とも呼ばれます。
これを会社組織にあてはめると、全売上の80%はトップ20%の優秀な社員によってもたらされているということになります。
しかし、他の組織にない公務員の組織の特徴は、人材の質のバラツキがあまりない、ということです。
つまり、どんなに使えないヤツでも最低限のコミュニケーション能力や事務処理能力は備わっているのです。
至急の対応が必要な書類を送ってきたあと、電話やメールによるリマインドをしない
無断で遅刻した後、遅刻したことをなかったことにする。
これらはどれも、民間企業で働いている妻や知人の話に実際に登場してくる激ヤバ社員の話です。

県庁では、ここまでひどい職員には会ったことありません。
学歴フィルターによって、公務員という集団の質がある程度保たれているのは間違いないでしょう。
※ちなみに、「学力」と「学歴」は全く違います
なぜ「公務員は優秀」だと言われるのか?

わりとよく、このようなことを言われます。
なぜ、公務員のことをよく知らない人々から「公務員は優秀」だといわれるのでしょうか?
ここでも、学力試験の存在が大きいと僕は考えています。
つまり、公務員のことをよく知らない人が「公務員は優秀」だと思い込んでしまうのは、ひとつの理由として、次のような変換をしてしまうからなのです。
ポイント
学力フィルタリングを突破 → 頭がいい = 優秀
これは、以前にこちらの記事で解説した、「県庁職員=エリート」と脳内変換されてしまうメカニズムと全く同じです。
県庁職員はエリートなのか!?現役県庁職員がホンネで回答!
たしかに、公務員の組織は、人材の質のバラツキが少なく、集団の質がやや高めということは事実です。
しかし、それは実際に公務員として働いてみないと分からないのです。
内情をよく知らない世間一般の人が、「公務員は優秀」と思い込んでしまうのは、
僕たち公務員が「難解な学力試験を突破した」ということが大きいと言えるでしょう。
優秀な公務員になるためには
「優秀な公務員」になるのはわりと簡単

じつは、民間企業に比べて、公務員の組織の中で上位になることは、それほど難しいことではありません。
なぜなら、集団全体のクオリティは高いものの、個々の職員を見ると、多くの人がボーダーラインより少し上のところでひしめいているからなのです。
これは、次のような理由によるものと考えています。
無能な職員が残りやすいシステム(終身雇用や年功序列など)が充実している
優秀な人ほど辞めやすい
採用当初は優秀でもだんだんと無能化していく人が多い
公務員に無能な人材が多い4つの理由!現役職員が語る悲しき真実
いずれにしても、公務員の組織において、頭ひとつ抜けて優秀な人材というのは、意外に少ないものです。
具体的には、「目的に対する最適なアプローチ」を日々の業務で心がけるだけで、優秀な公務員として評価されるようになります。
ボーダーラインより少し上のところでひしめいている多くの職員は、
何かにつけて前例踏襲的で、非効率な仕事の仕方にいつまでも気づかないのです。
「目的に対する最適なアプローチ」を意識するだけで、わりと簡単に「優秀な公務員」になることができるのです。
優秀な公務員が行く部署
ちなみに、優秀な公務員はどのような部署で働いているのでしょうか?
あくまでも、僕が働いている県庁の例ですが、優秀な職員が異動する部署については、こちらの記事でまとめています。
【現役職員談】県庁で本当に出世する人が行く部署はどこか?なぜ若手の時から経験させられるのか?
現役地方公務員が考える出世コースとは?代表的なキャリアパスを紹介するよ
民間と公務員はどちらが優秀?
民間と公務員では、どちらが優秀なのでしょうか?

民間と公務員とではそもそも存在原理が全く違うのです。
存在原理の違いゆえに、活動する畑も仕事に対してのベクトルも違ってくるのです。
もちろん、社会に対する価値提供というゴールは一緒なのですが。
民間企業 → 利益の追求が第一
公共団体 → 民間企業が参入しないけど社会に必要なモノ・サービスの供給
それはまるで、全く違うアニメのキャラクターを比べて「どちらが強いか」を決めるのと同じくらい不可能なことなのですね。
それから、民間も公務員も、職種や組織はさまざまです。
それらを一括にして比べるのは無理のある話です。
たしかに、学力試験によるフィルタリングがあるため、公務員の方が激ヤバ職員がまぎれこむ確率は低くなります。
しかし、民間と公務員のどちらが優秀かを厳密に比較することは、両者を比較する指標がないため不可能なのです。
まとめ
今回は、「公務員は優秀か?」ということについて、解説しました。
この記事のまとめ
公務員は、個人として優秀な人は少ないけど、集団全体でみるとやや優秀
集団の質がある程度保たれるのは、学力試験があるから
「公務員は優秀」と世間から思われている理由も、学力試験があるから
ずば抜けて優秀な職員が少ないため、公務員の組織の中で上位になるのはわりと簡単
比較指標がないため、民間と公務員のどちらが優秀かについての比較は不可能
公務員は、集団全体でみるとやや優秀ですが、個人としてずば抜けて優秀な人はほとんどいません。
ふつうのパフォーマンスをしていれば、集団の中で気後れすることもなく、とても働きやすい環境と言えるでしょう。
のびのび働きたいのであれば、公務員はおすすめの就職先です。