
今回は、現役地方公務員がこのような疑問にお答えします。
この記事の内容
一般論として地方公務員の生活は苦しいのか?
地方公務員の生活が苦しくなる3つのパターン
この記事の執筆者
現役の地方公務員
30代で年収は500万円ほど
夫婦共働きのため生活はそこまで苦しくない
息が詰まるほどのド田舎出身
地方公務員の生活は苦しいのか?
一般論として、地方公務員の生活が苦しいことはありません。
地方公務員は
給料が民間の平均よりも高い
休職したときのセーフティーネットがしっかりしている
公務員住宅などの福利厚生が充実している
など、いろいろと恵まれているからです。
地方公務員の特徴を一言でいうと、
「金持ち」になることは難しいが、生活が苦しくなることはあまりない
といったところでしょう。
ただし、もちろん、地方公務員なのに生活が苦しいという人もいます。

一方で、田舎で公務員をしている知人の中には、明らかに生活が苦しそうに見える人もいます。
では、なぜ同じ地方公務員なのに生活が苦しい人とそうでない人がいるのでしょうか?
地方公務員の生活が苦しくなる4つのパターン
地方公務員の生活が苦しくなるかどうかは、
- 勤務先の自治体
- 生活する地域
- 年齢
などの要素に大きく左右されます。
そして、これらの要素をもとに想定される、
「地方公務員でも生活が苦しい人」とは、
- 地域手当が少ない首都圏の市役所職員
- ド田舎の町村役場職員
- 20代以下の独身公務員
という3つのパターンになります。
地域手当が少ない首都圏の市役所職員
首都圏の市役所職員の中でも、
地域手当の支給率が低い
公務員宿舎を持っていない
このような自治体に勤めている場合、生活が苦しくなりやすいと考えられます。
単純に首都圏の高い生活コストに対して所得が十分でないからです。
首都圏でも地域手当が少ない
同じ首都圏でも財政状況により、となりの自治体よりも地域手当の支給率が低いということがあります。
地域手当とは
- 都市と地方の物価の差を調整する名目で、都市部の公務員に対して支給される手当
- 勤務地によって基本給の3〜20%が支給される
たとえば、首都圏で地域手当が10%しかもらえないところもあれば、逆に、水戸市・大津市・広島市など地方都市でも10%もらえるところもあるのです。
物価水準を考えると、後者の方が生活が豊かになるのは言うまでもありません。
首都圏での生活のネックは家賃
生活費の中でも、首都圏と地方都市との一番大きな違いは家賃です。
たとえば、月の家賃を70,000円で考えてみると、
地方都市なら築浅の2LDKに住めるのにたいして、首都圏だとワンルームにしか住めません。
首都圏の公務員だからといって家賃補助額が上がるわけではないので、地方都市との家賃の差額はそのまま家計を圧迫します。

そして、不動産価格が高くなれば、家賃の支払額が上がるだけではありません。
テナント賃料も割高になるので、
- 飲食店
- 交通費
などのサービスに対する支払額も当然上がります。

生活コストが高いのにも関わらず、地域手当がわずかしかもらえなければ、当然、生活は苦しくなるでしょう。
ド田舎の町村役場職員
ド田舎の役場で働く地方公務員も、
- 給料が低い
- 公務員宿舎がない
- 自家用車が必須
- 物価が高い
- 娯楽がない
といった理由から、生活が苦しいと考えられます。
給料が低い
まず、離島や過疎地域などの職員は絶対的な給料がそもそも低いです。
ひどいところでは、都市部の地方公務員と比べて300万円以上も平均年収に開きがあるところもあります。
公務員宿舎がない
都道府県や政令指定都市と違い、転勤のない市町村はほとんど公務員宿舎がありません。
都市部であればあまり問題ありませんが、賃貸住宅の供給が少ないド田舎において、低家賃な公務員宿舎がないのは死活問題です。

実家暮らしができる人はよいのですが、そうでない場合、持ち家が現実的な選択肢になります。
もちろん、ほとんどの自治体では、持ち家に対する住宅補助はありません。
地方都市と比べてド田舎の公務員にとって、どうしても住居費は割高になるのです。
自家用車が必須
田舎だと公共交通機関がほとんど機能していないため、移動手段として自家用車を持つことが必須になります。
駐車場代はタダ同然かもしれませんが、それ以外の自動車を維持するためのコストが家計を圧迫します。
物価が高い
田舎だと、基本的にモノ・サービスの供給が圧倒的に少ないため、物価は上がります。
野菜などはタダ同然で手に入るかもしれませんが、その他の物価はむしろ地方都市よりも割高です。

チェーンの居酒屋がないので、980円の飲み放題などもなく飲み代もかさみます。
案外、地方都市よりも田舎のほうが物価は高いものなのです。
娯楽がない
映画館
オシャレな飲食店
アパレルショップ
ド田舎にはこのような娯楽施設がありません。
リアルの場に娯楽を求める人にとって、田舎は物足りなさすぎるでしょう。
定期的に都会に遠征するため交通費や宿泊費が家計を圧迫するのです。
動画配信サービス
ネットショッピング
お取り寄せサービス
などオンラインで代替できる娯楽もあるのですが、まだまだリアルの場でしか体験できない娯楽もあります。
都市部に娯楽を求めに行くためのコストも、生活費に組み込んでおく必要があるでしょう。
このように、ド田舎だと公務員の給料の絶対額が低いだけではなく、意外と生活コストがかかるため、生活は苦しくなりやすいと言えるでしょう。
20代以下の独身公務員
すべての公務員に共通して言えるのが、20代以下の独身は結構生活が苦しいということです。
これは首都圏の市役所職員やド田舎の町村役場の職員に限った話ではありません。
国家公務員や地方都市の地方公務員であっても20代までは結構生活が苦しいものです。

さらに高卒の新採職員にいたっては、手取りが月10万を少し超えるくらいらしいです。
早いうちに結婚して夫婦とも公務員の共働きであれば、苦しい20代をダブルインカムで乗り切ることができるでしょう。
しかし、そうでもしない限り、生活はかなり苦しいのです。
最初の配属先が出先だとさらにキツい
特に、県庁職員の場合、若いうちに出先機関に配属になることが多いのですが、出先に配属された場合、さらに生活は苦しくなります。
出先機関は、たいてい県庁所在地以外のへんぴな田舎にあります。
つまり、出先に配属になることによって
県庁所在地よりも物価が高い
場所によっては自家用車が必須
娯楽を求めるために、県庁所在地までの遠征費がかかる
地域手当がもらえないのに、生活コストは地方都市よりも高い
といった、田舎の町役場職員が抱えるデメリットがまるまるのしかかってくるのです。
これは、手取り月収10万ほどの高卒新採職員にとってはかなりキツいです。
ちなみに、高卒の地方公務員だと、大卒と比べて給料が低いため生活が苦しいということはありません。
地方公務員だと、高卒も大卒も昇級幅や出世スピードにほとんど差がないのです。
高卒だろうが大卒だろうが、20代までは生活が苦しいのには変わらないのです。
まとめ
今回は、生活が苦しい地方公務員の3つのパターンについて解説しました。
この記事のまとめ
地域手当が少ない首都圏の市役所職員は、首都圏の高い生活コストに対して所得が十分ではないため、生活が苦しくなりやすい
ド田舎の町村役場職員も、田舎特有の生活コストの高さのわりに収入が少ないため、生活が苦しくなりやすい
20代以下の独身公務員は、収入が少ない上に、田舎の出先機関に配属されることが多いため、生活が苦しくなりやすい