
この記事では、現役公務員がこのような疑問にお答えします。
この記事の内容
公務員になって分かったデメリット
この記事の執筆者
キャリア5年以上の現役公務員

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①長く働けば働くほど転職しにくい
公務員としての経験は、転職するにあたってほとんど評価されることはありません。
それどころか、公務員として長く働けば働くほど、市場価値が下がり転職しにくくなります。
なぜなら、一般的に公務員としてのスキルは民間企業では必要とされていないからです。
そもそも、
- 民間企業の目的は利益の追求
- 行政組織の目的は市場原理でカバーできない部分の補完
と、行政組織と民間企業とでは仕事の目的もまったく違います。
このため、民間と公務員では、仕事で求められるスキルもまったく異なるのです。
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もちろん、市場価値が下がるというのはあくまでも一般論です。
公務員がまったくツブしがきかないかというと案外そうでもありません。
つまり、公務員の市場価値が低いというのは、あくまでも一般的な労働市場のことであって、
特殊なニーズとして「元公務員」を求めている企業もある
のです。
ただし、全体でみると、そのような人はごく一握りです。
やはり、公務員から民間企業へキャリアチェンジした人の多くは、20代のうちに転職しています。
行政組織の非効率な仕事の仕方にズルズルと染っていった人間に、何の市場価値がないことは言うまでもないのです。
そういう意味では、やはり公務員は転職しにくい職業と言えるでしょう。
②出世するメリットがない
公務員の場合、出世することにはほとんどメリットがありません。
むしろ、公務員として出世することによって、
- 激務の部署に配属されやすくなる
- 相対的に収入が下がる
- 仕事上の支出が増える
- 責任が増える
- バッシングの影響を直接受ける
- 出世コースから外れた人から恨まれる
など、デメリットしかないのです。
たしかに、
仕事上の支出や責任が増える
出世コースから外れた人たちから恨まれる
といったことは、公務員に限らずどこでもよくあることかもしれません。
しかし、民間企業であれば、幹部職員しか得ることのできない「高い給料」によって、これらのデメリットはカバーされることでしょう。
実力主義の企業であれば、なおさらだと思います。
公務員の場合、一般職員と管理職員の年収の差は、じつはそこまでありません。
たとえば、県庁の場合、一般行政職の最高位である「部長職」であっても、年収が1,000万円を少し超えるくらいなのです。
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なぜ、公務員だとそこまで管理職員と一般職員との間に年収の差がないかというと、昇給の基本的な仕組みが、完全に年功序列をベースにしているからなのです。
出世することによって、あまり給料が上がらないどころか、むしろ、管理職員として激務の部署に配属されることによって「相対的な給料」が下がるのはこのためです。

サラリーマンとして最大のメリットである「給料アップ」が望めないとなれば、もはや公務員として出世することには何のメリットもありませんね。
③バッシングされやすい
バッシングされやすい職業ということも、公務員になるデメリットです。
なぜ、公務員がバッシングされやすいかというと、
- 「目に見える努力しか評価しない」日本人の精神性
- どんなときでも公務員だけ安定してるいるように見える
- 公務員は叩きやすい
といった、主に3つの理由によると僕は考えています。
つまり、公務員は
- 「経営努力」を全くしていないにもかかわらず
- 景気が悪くなってもほとんど影響を受けることのない
ため、日頃から何かと嫌われやすい存在です。
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その上、
バッシングすることがタブーでない
バッシングしても反撃してこない
など、公務員はメディアや政治家にとって非常に叩きやすい存在とも言えるのです。

つまり、彼らにとっての公務員バッシングは、リスクが少ない上に一般受けが良く、大変コスパが良いのです。
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公務員は、すぐにバッシングされやすい損な職業とも言えるでしょう。
④楽な仕事ばかりではない
公務員は楽でヒマで安定している
このような世間のイメージと違い、公務員の仕事は決して楽な仕事ばかりではありません。
厳密に言うと、「楽な部署」と「楽ではない部署」が完全に二極化しているといった感じです。
つまり、
- 部署
- 業務内容
- 役職
によって、楽かどうかの明暗が分かれるのです。
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「安定している」のは間違いないけど、決して楽でヒマではない
このことは、実際に公務員になってみるとよくわかるはずです。
⑤仕事がつまらない
他の多くの民間企業と違い、
- 「結果」ではなく「過程」ばかりが重視される
- 組織がデカすぎて事務が細分化されすぎる
- 「議会」というムダな業務が多くを占める
という理由から、公務員の仕事はつまらないのものになっていると考えています。
公務員の仕事が
- 形式主義
- ルーチンワーク
などと言われるのも、大本の原因はこれら3つの理由によるでしょう。
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たしかに、内情を知らずに地方公務員(県庁)の仕事と聞くと、
スケールがでかい仕事ができる
多くの人と関わりながらダイナミックに仕事ができる
非営利組織だからこそ社会貢献を第一に考えて仕事ができる
など、「やりがい」があるように思えます。
しかし、これは組織全体で見たときの、あくまでも表向きの話です。
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個々の公務員が、このような「大義名分」を常に感じながら仕事をしているわけではありません。
実際は、巨大な組織の歯車を回すだけの、単調でつまらない作業が多くを占めているのです。
⑥首都圏だとあまりメリットがない
公務員は、どこに生活拠点を置くかによって相対的な生活レベルが変化しやすい職業だと考えています。
そして、
地域手当が少ない首都圏の地方公務員
ド田舎の地方公務員
など、生活する場所と勤め先の自治体によっては、生活が苦しくなるケースも想定されるのです。
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中でも特に、首都圏の公務員にはほとんどおいしいところがありません。
安定した雇用が少ないド田舎に比べて、首都圏では公務員よりもホワイトで賃金水準が高い企業がたくさんあるので、わざわざ公務員になるメリットはあまりないのです。
それから、首都圏の公務員の方が、「人口集中→行政需要増」により、他の地域の公務員よりも負担がかかっています。
それにもかかわらず、給料は地方都市の公務員とたいして変わらないのです。

もちろん、金遣いが荒ければすぐに生活が苦しくなってしまうのは、首都圏でも地方都市でも同じです。
しかし、地方と比べて圧倒的に「地価」が高く、生活コストがかさみやすい首都圏のほうが生活が苦しくなりやすい可能性は高いと言えるでしょう。
首都圏では、公務員になるメリットがほとんどないと言えるのです。
まとめ
今回は、「公務員のデメリット」について、解説しました。
この記事のまとめ
公務員になるデメリットは次の6つ
- 長く働けば働くほど転職しにくい
- 出世するメリットがない
- バッシングされやすい
- 楽な仕事ばかりではない
- 仕事がつまらない
- 首都圏だとあまりメリットがない