
今回は、公務員の休みについて、よく聞かれる5つの代表的な疑問に現役公務員がお答えします。
公務員は土日祝日は休みで、年次有給休暇が20日ももらえるため、休みが多い職業
なんてことがよく言われていますね。
でも、本当に知りたいのは、
実際にどれくらいその制度を活用できているか(休みを取れているか)
ということではないでしょうか。

この記事では、すべて現役公務員である僕の実体験・感想をお伝えしたいと思います。
この記事の内容
公務員はリアルに何日くらい休んでいるのか?
公務員(事務職)は、本当に土日祝日休みなのか?
公務員は、どれくらい休みを言い出しやすいのか?
公務員は、長い休みを取れるのか?
なかなか休めない公務員の特徴は?
この記事の執筆者
キャリア5年以上の現役公務員
原則、土日祝日が休みの職種(行政事務)
Q1.公務員はリアルにどれくらい休めるの?
まず、現役公務員である僕の
- 平均的な年間休日日数
- 最も多い年の休日日数
- 最も少ない年の休日日数
についてお伝えします。
「年(とし)」の扱いについて
ひとくちに「年」といっても、「暦年(1/1〜12/31)」と「年度(4/1〜翌年3/31)」とがあります。
この記事では、特別に断りがない限り「年度」を前提にしています。
Q1-1.平均的な年間休日数は?


その内訳は、
土日祝日+年末年始休暇の日数120日以上
年次有給休暇は平均で15日以上
特別休暇は少なく見積もっても年8日以上
土日祝日の出勤は、多く見積もって年間で3日
といったところです。
参考(直近3カ年の土日祝日+年末年始休暇の日数)
2018年度 121日
2019年度 125日
2020年度 122日
一般的なサラリーマンの年間休日日数が120日と言われていることからすると、これはかなり休めている方に入るのではないでしょうか。

さすがに、世間でイメージされているように、
公務員は年休20日をフル消化
というのは難しいかもしれません。
それでも、部署にもよりますが、平均的に年間10日くらいなら問題なく取れるのではないでしょうか。
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Q1-2.最も多く休んだ年は?


内訳
土日祝日+年末年始休暇の日数 121日
土日祝日の出勤数 0日
年次有給休暇 20日
特別休暇 18日
自分で言うのもなんですが、正直休みすぎですね。
この年は、最初の子供が生まれため、特別休暇の日数が多くなっているのが特徴です。
具体的には、
- 妻の出産に合わせて、「配偶者出産休暇」「育児参加休暇」をフル消化(計8日)
- 子供の予防接種や定期検診に合わせて、「子の看護休暇」をフル消化(5日)
しました。
次の年度に育休に入る予定だったので、年休を駆け込み消化したことも要因です。
Q1-3.最も休みが少なかった年は?


この年は、予算業務をメインに担当していた年でした。
- 何日か土日祝日の出勤があったこと
- 突発的な補正予算について心配性になりすぎたこと
などが原因で、あまり休みが取れませんでした。
それでも、130日以上は確実に休みをとっていました。
そう考えると、やはり公務員は休みが取りやすいと言えるでしょう。
Q2.公務員はホントに土日祝日休みなの?
事務職(一般行政職)は、土日祝日は完全に休みと聞きますがホントですか?


「ほとんど」というのは、実態として8〜9割の人は土日祝休みといった感じです。
あくまでも、僕が勤めている県庁の話ですが。
ただ一部例外として、
- 予算
- 議会
- 人事
- 災害
これらの業務に中心的に関わっている部署・係は、ピーク時期の土日出勤が常態化しています。
残念ながら、これは本当に運次第、としか言いようがありません。
もちろん、財政課や人事課にでも配属されない限り、土日祝日出勤は1年に数日で済みますが。

スーパーブラックの財政課に比べたら、足元にも及びません。
それでも、本庁のそこそこ忙しい部署に配属されていたため、
予算要求
議会の答弁調整
土日をまたぐ県外出張
などで休日出勤することがありました。
ちなみに、財政課職員は、予算編成期のピークを迎える年末年始はほとんど休めないです。
しかし、あくまでもこれは一部の極端な事例。むしろ少数派です。
部署によっては、このような特殊なところもあるという程度の認識で大丈夫でしょう。
事務職であれば、ほとんどの職員が土日祝日休みと考えて間違いありません。
Q3.どれくらい休みを言い出しやすいの?


言いやすいどころかむしろ、ことあるごとに管理職員のほうから「休め!」と言ってくれるくらいです。
また、休むにあたって、同じ係の同僚の顔色をうかがう必要もありません。
基本的に、同じ係の職員と密接に連携して仕事をすることがないからです。
同じ部署・係の中の事務がきっちりと縦割りになっているため、むしろ他部署の担当と連携することのほうが多いのです。

この点、管理職員が「休むな」ということはほぼ100%ありえません。
少なくとも、今まで僕の上司だった人たちについては、部下の休暇取得について積極的な人しかいませんでした。
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もちろん、自分の仕事がちゃんと回っていることが前提ですが。
そう考えると、地方公務員は間違いなく休みを取りやすいといえるでしょう。
Q4.公務員は長い休みをとれるの?


具体的に、過去にどれくらい長い休みを取ったことがあるかというと、
- 14連休(12月23日(旧天皇誕生日)から年明けの最初の日曜日まで年休でつなげた)
- 10連休(月〜金に5連休の結婚休暇を取得して直前の土日と次の土日祝をつなげた)
などです。
さすがに、これだけの長期休暇になると同僚・上司に迷惑がかかってしまいますが、上司・同僚に理解者がいれば十分に可能なのです。
日頃からお互いの仕事を引き継ぎあえるよう、風通しが良い関係を築いておけば問題ないでしょう。
さらに、もっと長い休みを取りたいのであれば、思い切って「休業」を取ってみるというのもありです。
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休業の目的は「進学」「育児」「配偶者の海外赴任」などに限定されますが、このどれかに当てはまれば、最長3年間休むことができるのです。

1日単位で取得できる「休暇」だけではなく、より長期の「休業」も取りやすくなっています。
そう考えると、公務員は、長い休みを非常に取りやすいと言えるでしょう。
Q5.みんながしっかりと休めているの?休みを取れない人はいるの?


運がよいことに、僕はこれまでかなり休みを取れてきたほうです。
それから、僕ほどではなくても、全体的に公務員はたくさん休みを取りやすい職業であることはたしかです。
しかし、中にはあまり休みを取らない(取れない)公務員もいるのは事実です。
では、いったいどのような人があまり休みを取れないのでしょうか?
経験上、あまり休みが取れない公務員には、
- 仕事の回し方が下手
- 心配性・責任感が強すぎる
- ハズレの部署に配属された
- 管理職員
の4つのパターンがあると考えています。
仕事の回し方が下手
まず、一番多いのがこのパターンです。
- 与えられた期限まで、時間を目一杯使って仕事する
- 目標に対する最適なアプローチを考えない
- 誰からも求められていない無駄な付加価値を付けようとする
このような職員は、えてして休みをあまり取れていません。
上手く休みを取れない公務員に、もっとも多いのは、この仕事の回し方が下手というパターンではないでしょうか。
心配性・責任感が強すぎる
自分が休んでいる間に、突発的な仕事が舞い込んできたらどうしよう?
ハッキリ言って、このようなことを気にしていたら一生休むことはできません。

自分に関係する仕事がいつ舞い込んでくるかを、すべて正確に把握することは不可能です。
- いつも突発的な依頼をしてくる人に自分の休みの日を伝える
- 近々降りてきそうな作業内容・緊急性にについて上司と共有しておく
などすれば、少しは休みを取りやすくなるでしょう。
部署がハズレ
- 財政課
- 秘書課
- 災害対策部署(災害時限定)
- その他(知事公約事業を所管している部署など)
などの部署は、不可抗力的に忙しいため、なかなか休めない環境にあります。
たとえ、上司・先輩職員が休みに対して積極的な人たちだとしても、業務量そのものが多いのです。
しかも、業務量が多いだけではなく、ありとあらゆる部署と密接に関連しているため、自分ひとりの業務効率化ではどうにもならないのです。
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幸いなことに、僕は一度もこれらの部署に異動したことがありません。
もし、運悪くこれらの部署に異動することになったら、今のようにたくさん休むことは望めないでしょう。
管理職員
管理職員になると、
- 出張
- 来客対応
など、あらかじめ「日時」や「場所」が決まっている仕事が増えます。
もちろん、役職があがるにつれて事務作業的な負担は減りますが、その反面、拘束時間は増えるのです。
おまけに、イベントの合間をぬって、議会答弁や予算に関する部下職員からのレクチャーがひっきりなしに入ってくるため、丸一日空くことはほとんどありません。
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上層の幹部職員だけでなく、中間管理職である課長補佐も例外ではありません。
最近では、ワーク・ライフ・バランスの取組みが強化され、一般職員の時間外業務や休日出勤の負担を減らす風潮が強くなっています。
役所全体の仕事が増えているなか、一般職員の負担を減らすとなると、当然、中間管理職である課長補佐や課長にそのしわ寄せが行くのですね。

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かつて僕の上司だった課長補佐は、夕方ごろに中抜けして、特別休暇を「1日分」消化したことにしていました。
管理職員は、構造的に休みが取りにくい立場と言えるでしょう。
まとめ
今回は、「公務員の休み」に関する代表的な5つの疑問について、現役公務員である僕の答えをまとめてみました。
この記事のまとめ
公務員(一般行政職)は、ほとんどの職員が土日祝日休みだが、部署によっては年に数日の休日出勤が必要なところもある。
管理職員が部下が休むことに積極的なので、公務員はとても休みを言い出しやすい環境にある。
大型連休の合間に有給休暇を取るなどすれば、10連休以上の長期休暇を取ることもできる。
もちろん、役職や個人の仕事に対する向き合い方から、あまり休みを取らない(取れない)公務員もいる。