
この記事では、このような疑問に対して、現役地方公務員がストレートにお答えします。

この記事の内容
現役地方公務員の過去4年分の昇給額
地方公務員の昇給の仕組み
地方公務員の昇給の時期
休業期間の昇給の扱い
この記事の執筆者
キャリア5年以上の現役県庁職員
採用区分は、地方上級(一般行政職)
公開時の年齢は、20代後半〜30代前半
地方公務員のリアルな昇給額を公開
まず、現役地方公務員である僕のリアルな昇給額を公開したいと思います。
※諸事情により、年齢・基本給・級・号俸は非公開にしています。
「年(とし)」の扱いについて
「年」という言葉には、「暦年(1/1〜12/31)」と「年度(4/1〜翌年3/31)」の2つの意味があります。
この記事では、特に断りがない限り「年度」を前提にしています。
ちなみに、ここでいう「昇給」とは、「基本給」が上がることをさします。
「基本給」以外の「手当」については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひどうぞ。
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1回目
記念すべき最初の昇給額はというと、
5,292円
です。
これは、新規採用された年の1月の定期昇給です。

あらためて振り返ると、あまり大した額ではありませんが。
まあ最初はこんなものかといった感じです。
2回目
採用2年目は2回昇給しています。
まず、4月に
6,502円
昇給しています。
これは、その年に大きな給与改定があり、若手職員の基本給が大幅に上がったことによるものです。
前回の昇給から数えると、3ヶ月しか空いていません。
つまり、半年の間に、金額にして11,794円昇給したことになりますね。

しかし、そんな喜びもつかの間。
同じ年の6月から、「住民税の洗礼」を受けることになります。
つまり、採用1年目は住民税が0円だったのに対して、2年目からはこれが毎月1万円前後〜かかってくることになるのです。

採用1年目は、当然「前年度の所得が課税ライン以下(学生だったため年収103万円以下)」です。
それに対して、採用2年目は、1年目の収入実績に対して住民税が発生するのですね。
そんなこんなで、採用2年目は当初から激しいアップダウンを経験することになりました。
3回目
3回目は、採用2年目の定期昇給です。
具体的な昇給額はというと、
11,800円
でした。
前年度(採用1年目)に、「良好(B区分)」(5段階中、上から2番目)の成績評価をもらったため、昇給額は普通よりも大きくなっています。
後で詳しく説明しますが、前年度の勤務成績に応じて定期昇給の金額は変わります。

たしかに、首都圏の大手企業の総合職であれば、年1万円という昇給は大したことはないかもしれません。
しかし、地方というカテゴリでみると、毎年1万円以上の昇給はなかなかではないでしょうか。
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4回目
4回目は、採用3年目の定期昇給です。
具体的な昇給額はというと、
11,100円
でした。
このあたりから、基本給がやっと年齢相応になってきます。
じつを言うと、僕は他の人よりも遅い年齢で就職しているのです。
つまり、地方公務員として何年か勤めていれば、遅く就職したことによる経済的なディスアドバンテージはチャラになるのですね。
ほんとに地方公務員になって良かった
と思い始めたのもこのあたりからでした。
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5回目
5回目は、採用4年目の年度初め(4月)の昇給です。
具体的な昇給額は、
8,100円
でした。
これは、昇格(役職があがること)による昇給です。
時期にして、前回の定期昇給から3ヶ月後です。
つまり、3ヶ月のあいだに、
合計19,200円
昇給したことになります。
6回目以降
6回目の昇給は、採用4年目の定期昇給です。
具体的な昇給額は、
7,300円
でした。
これ以降、毎回の昇給額は、
おおむね8,000〜11,000円
で推移しています。
年によっては、8,000円を下回ることもありますが、年功序列によって必ず昇給し、さがることはありません。
また何年後かしたら、過去10年分の昇給額をまとめたいと思います。
まとめ
過去4年の昇給を以下にまとめてみました。
過去4年分の昇給額(年度ベース)
1年目 5,292円
2年目 18,302円
3年目 11,100円
4年目 15,400円
20代後半〜30代前半の地方公務員の昇給額として、参考にしていただければと思います。
地方公務員の昇給の仕組み
地方公務員の給料は、「給料表」というもので規定されています。
自治体によっては、「俸給表」などとも呼ばれています。
(出典:岡山県庁:行政職給料表)
上の図にしたがって説明しますと、
縦軸は、「号給(ごうきゅう)」または「号俸(ごうほう)」と呼ばれ、毎年1回の定期昇給で下にスライドしていきます。
横軸は、「級(きゅう)」と呼ばれ、昇格に合わせて右にスライドしていきます。
つまり、公務員の昇給は、基本的には、級、または、号俸が上がることによって起こります。
もう一つの要素として、人事委員会の勧告によって基本給が引き上げられる(民間でいうところのベースアップです)ことがあります。

横軸の移動、つまり、昇格は数年に一度しかありません。それにたいして、号俸は毎年必ずあがります。
上がり幅は、前年度の勤務成績に応じて、0〜8号俸です。
前年度の勤務成績と昇給の関係をまとめると、次のようになります。
「特に良好(A区分)」 → 8号俸
「良好(B区分)」 → 6号俸
「普通(C区分)」 → 4号俸
「やや不良(D区分)」 → 2号俸
「不良(E区分)」 → 0号俸
これは、国家公務員の昇給モデルを導入している、多くの自治体にみられるパターンです。
自治体によっては、次のような号俸の上がり幅のところもあります。
「A区分」→ 5号俸
「B区分」→ 4号俸
「C区分」→ 3号俸
「D区分」→ 2号俸
「E区分」→ 0号俸
成績区分は、すべて相対評価であり、割合的に「C区分」が多数になるような制度になっています。
経験上も、ほとんどの職員は「C区分」または「B区分」の評価をもらっているという印象です。
あくまでも、うちの県庁の話ですが、よほどのことがないかぎり、「A区分」または「D(E)区分」をもらうことはないでしょう。

また、55歳以上の職員については、「B区分」以上の評価をもらわないと昇給できない、としている自治体も数多くあります。
これは、昇給における年功序列の要素をなくすためです。
もちろん、これだけでは全く年功序列的な要素を排除できていないと、僕は思っていますが。
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地方公務員の昇給の時期
地方公務員の昇給時期は、おもに1月と4月です。
- 1月の昇給は、定期昇給によるもの
- 4月の昇給は、昇格によるもの
となっています。
つまり、昇格する年は、1月の定期昇給と4月の昇格によって1年に2回昇給することになるのです。
ちなみに、昇格はほとんど4月の人事異動に合わせて起こりますが、人によってはそれ以外の時期に昇格する人もいます。
その場合は、もちろん、4月以外の時期に昇給することになります。
それから、人事委員会の勧告による基本給の改定は、通例1〜4月に反映されます。
その月の給料の支給日には、過去にさかのぼった差額が一気に支給されます。

今後しばらくは、コロナの影響で減ることはあっても、増えることは見込めませんが。
基本的には、地方公務員は毎年1月に昇給し、それに加えて、年によっては4月にも昇給すると考えて間違いないでしょう。
休業中は昇給しないのか?


地方公務員の定期昇給は、前年度の成績評価にもとづいて行われるのです。
もちろん、前年度の勤務実績があればですが。
実際に、僕も育休中の最初の年は、例年どおり4号俸昇給していました。
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休業中は勤務成績が判定できないため、休業中の成績が反映される年は昇給しない
このように考えるのが普通ですよね。
しかし、じつは休業明けについても、普通に勤務していたのと同じだけ昇格します。
なぜなら、公務員が休業したことを理由に昇給に差をつけてはいけないとするルールがあるからです。
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このルールは、多くの自治体において、「復職時の号俸調整」として規則で定められています。

たとえば、本来、休業を取っていなければ4号俸昇給していたケースについて考えます。
この場合、もし休業明けに2号俸(休業の期間等によります)しか上がらなかったとしても、あとから、号俸の調整によって追加で2号俸上がるのです。
結果的に、これは普通に勤務した場合と同じだけ昇給したことになるのです。
まとめ
今回は、「地方公務員の昇給」というテーマについて、解説しました。
この記事のまとめ
20代後半の地方公務員は、毎年だいたい8,000〜10,000円前後昇給する(2年目以降)。
地方公務員の昇給額は、「給料表」に定められていて、成績評価と勤続年数に応じて昇給する。
地方公務員の昇給の時期は、おもに1月と4月。休業期間中も、前年度の勤務実績にもとづき昇給する。
また、休業明けの最初の昇給も、「号俸調整」により通常どおり昇給する。