

この記事では、このような「公務員の引越し」についてのあらゆる疑問に対して、現役公務員が回答します。
この記事で分かること
公務員が引っ越しするタイミング
公務員の引越し費用に関するQ&A
公務員の引っ越しが辛いと思うところ
この記事の執筆者
キャリア5年以上の現役公務員
公務員が引越しするのはどんなとき?

公務員の引越しするタイミングとしては、
- 新規採用
- 転勤
の主に2つがあります。
それぞれ、具体的に説明します。
新規採用
まず、新規採用のタイミングでの引越しです。

たとえば、首都圏の大学に通っていた人が、地方公務員としてUターン・Iターン就職するパターンが多いのではないでしょうか。
中には、地元の高校を卒業後、そのまま地元の市町村職員として働くということもあるかもしれません。
この場合、実家から通うことによって、引越しをしないということも可能でしょう。
しかし、全体の割合的にあまり多くはないという印象です。
特に、県庁職員の場合、新規採用職員のほとんどは出先に配属されることが多いため、引越しをするのが当たり前と考えておいたほうが良いかもしれません。
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転勤
新規採用以外の引越しのタイミングは、「転勤」です。
就職する自治体によって転勤の多さはマチマチですが、少なくとも1度は必ず転勤を経験することがほとんどでしょう。
転勤が多い公務員・少ない公務員については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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引越し費用はどうなるのか?
引越し費用は支給されるの?

公務員の引越し手当は、
赴任旅費
移転料
などと呼ばれています。
支給額・支給方法は?
では、引越し手当の支給方法はどのようになるのでしょうか?
公務員の引越し手当は、現状では、
定額支給(距離数にあわせた段階制)
実費支給(引越し業者の見積もりの中で、最も安価な金額)
の2とおりの支給方法があります。
しかし、時代の流れは、定額支給から実費支給になりつつあります。
なぜなら、つい最近、国家公務員の引越し手当について、これまで定額支給であったのを実費支給にするという変更があったからです。
引越し手当にかぎらず、地方公務員の福利厚生は、国家公務員をモデルにしています。つまり、国のやりかたをすぐにまねるのですね。

実際、僕の勤め先である県庁も、この流れを受けて実費支給に変わりつつあります。
今後、公務員の引越し手当は、徐々に実費支給になっていくと考えて間違いないでしょう。
引越し手当の上限額をオーバーしたら?
いくら実費支給であったも、支給の上限額というものがあります。


オーバーすることなんてほとんどないと思うかもしれませんが、そんなことは全くありません。
公務員の転勤の時期は、世間の引越しハイシーズンとドンピシャで重なります。
そうなると当然、
1年で一番のピーク料金を引越し業者に支払わなければなりません。
実際に、引越し業者から、規定額をオーバーした見積もりを提示された職員を何人か見てきました。
その人達は、規定額オーバーの見積もりで、泣く泣く引越ししていましたが。
いくら引越し手当の上限額が高く設定されていても、まったく安心はできないのです。
実費支給は不利?
最後にも説明しますが、実費支給は定額支給に比べると、公務員にとってかなり不利な制度になっています。
引っ越し料金が高騰し、過大な個人負担を強いられるケースがある中で、職員間の公平性の確保すること
国家公務員の支給方法の変更の理由は、表向きにはこのように言われています。
しかし、実費支給にすることによって、かえって職員の負担が増えているのが実態です。
たとえば、定額支給の場合、
- 自家用車で引越し
- 段ボール箱で引越し
といった方法で引越し費用を浮かせることができます。
そうすることで、差額分で新しい家電や家具の購入費の足しにすることができるのです。
一方、実費支給の場合、どのようにしても黒字化することはありません。
別にトントンになればまったく問題ないのですが、引越しにかかる費用はなにも「引越し業者に払う費用」だけではありませんよね。
- 前入りの宿泊費
- 新居の敷金・礼金
- 家電・家具の買い替え費用
従来の定額支給は、このような引っ越しに伴う諸経費をまかなっている側面があるのです。
引越し手当が実費支給になることで、かえって負担が増えてしまうことは間違いないでしょう。
公務員の引越しの辛いところ
さいごに、公務員の引越しの辛いと思うところについて説明します。
事前に準備することができない
まず1つ目の注意点は、前もって引越しの準備をすすめることができないということです。
公務員が転勤を知らされるのは辞令交付の2週間前とかそれくらいの時期からです。
つまり、それだけ、やるべき手続きが短い期間に集中しているのです。
ただでさえ
- 家探し
- 家具・家電探し
- 引越し業者の手配
- 転入転出届の提出
など、引越しの準備は大変です。
しかも、引越しの準備だけではなく、
仕事上の引き継ぎ
なども行わないといけません。
これらを作業をわずか2週間の短い期間で同時並行するとなると、かなりのストレスです。
引越し手当が実費制だと、ほぼ確実に赤字になる
2つ目の注意点としては、引越し手当(赴任旅費)の支給が実費請求の自治体だと、ほぼ確実に赤字になってしまう、ということです。
なぜ、実費請求なのに赤字になってしまうかというと、引越し代金が旅費の上限額を上回ってしまうことがよくあるからです。
近年、引越し業者に頼んだときの引越し料金は信じられないくらい、高騰していますよね。
しかも、公務員の赴任シーズンは、
進学
民間企業の転勤
などとも重なる、1年で最もピークの時期になります。
まずもって、引越し料金は規定額をオーバーしてしまうと考えて間違いないでしょう。
逆に、引越し手当が定額制であれば、やりようによっては利益を得ることすらできます。
たとえば、大型の家具や家電をリサイクルショップなどで売るなどして処分し、段ボール箱だけで引っ越しするという方法です。
- 自治体の規定
- 距離数
- 世帯構成
にもよりますが、定額支給であれば最低でも10万円以上は支給されるのが当たり前です。
遠隔地の転勤であれば、30万円以上も引越し手当が支給されるのもめずらしくありません。

黒字分を新居での家電・家具の購入費に充てることができるのです。
実費制であればこのようなことはできません。
つまり、段ボール箱だけでの引越しであっても、新しい家電・家具の購入費は、もちろん自己負担になるのです。
どのような方法であっても、引越し手当が実費制だと、必ず赤字になってしまうのです。

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まとめ
今回は、「公務員の引越し」というテーマについて、よくある疑問について解説しました。
この記事のまとめ
公務員の引越しするタイミングとしては、新規採用転勤の2つがある。
引越し費用の一部または全部が補填されるが、上限額をオーバーした分は当然自己負担になる。
支給方法は、定額支給と実費支給の2とおりあるが、職員にとって不利なのは実費支給。
公務員の引越しが辛いと思うのは、次の2点。
- 引越し関連の準備期間がとても短い
- 実費支給の引越し手当だと、ほぼ確実に赤字になる