

この記事では、現役公務員がこのような疑問にお答えします。

どれくらい「つらい」かというと、公務員として「つらい」と思うことのトップ3に入るくらいなのです。
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今回は、公務員の異動がなぜつらいか、という理由などについてお伝えしたいと思います。
この記事でわかること
現役公務員が異動がつらいと感じる理由
公務員が定期的に異動することのメリット
この記事の執筆者
キャリア5年以上の現役地方公務員
これまで3回以上の人事異動を経験
公務員の異動がつらい理由
ここでは、これまでの経験から、公務員の異動がつらいと感じた理由について説明します。
僕が異動の時期につらいと思うのは、
- 人間関係を0から構築する必要がある
- 仕事を0から覚える必要がある
- ブラック部署に配属されるリスクに毎回怯える
の主に3つの理由からです。
人間関係をゼロから構築する必要がある
人事異動のたびに人が入れ替わるため、人間関係をまた最初から構築しなければなりません。
中でも重要なのは、
上司
他部署の担当
などとの関係性です。
これらの人との関係性は、自分の仕事のパフォーマンスを直接左右するため最重要です。
個人的には、同じ係で机を並べて仕事をしている職員との関係性はそこまで重要ではないと考えています。
なぜなら、事務分掌規則によってしっかりと縦割りに仕事が分かれているため、仕事上同じ係の職員と関わることがほとんどないからです。

管理職でもない限り、ドライに対応しておけばよいのです。
それよりも気にするべきは、
自分の業務に関係する他部署の担当
自分の業務に対する決裁権を持っている直属の上司
なのです。
しょせん「お役所仕事」は、法律や条例にもとづいているから、誰が担当になっても同じ
なんて思うかもしれませんが、実際はそんなことはありません。
法律や条例ですべてが網羅できないため、当然そこには解釈の余地が生じます。
解釈の余地がある以上は、運用レベルでの違いがでるのは当然です。
- どこに力点を置いて仕事をしているのか
- どういう方向性で仕事をしているか
ということが人によってまったく異なってくるのです。
自分の仕事と直接関係してくる職員のクセはしっかりと把握しておくべきでしょう。それから、風通しをよくしておくことも。
とはいっても、毎回、人事異動のたびにこれをするのは、なかなか骨が折れます。
仕事をゼロから覚える必要がある
人事異動によって担当業務が変われば、また0から仕事を覚える必要があります。
ほとんどの民間企業では、業務分野がある程度絞られているのにたいして、
行政組織の場合、業務分野が多岐にわたります。
こういう意味でも、本当に0ベースから仕事をおぼえることが多い職業だと感じています。
しかも、これは、自分だけではありません。当然、上司や関係部署の職員が異動してしまった場合も同じです。
新しい仕事を自分もわかっていなければ、相手もわかっていない。まさにカオスです。
というわけで、異動直後の2,3ヶ月は、
- 引継書を何回も読み返す
- 時には前任者に電話する
などして、手探りでようやく乗り切るといった感じです。
しかも、当然ですが、仕事は待っていてくれません。
いくらビギナーだからといって、自分の習得度にあわせて仕事の量をコントロールすることなどできないのです。

逆に言えば、たとえどんなにキツい業務内容であっても、2年目では心の持ちようが全く違ってきます。
それくらい、仕事を0ベースからおぼえるのはつらいことなのです。
人事異動がつらいのは、人間関係が変わるだけではなく、業務内容が変わってしまうということも大きいのではないでしょうか。
ブラック部署に配属されるリスクに怯えないといけない
- 財政課
- 秘書課
- 総務課
これらの部署は、いわずと知れた出世コースですが、現役公務員であれば誰もが、できれば避けて通りたい道です。
楽な部署で安らかに1年を過ごしたいと思うのは、人間心理として当然でしょう。
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しかし、現実はそう甘くはありません。
毎年、異動の季節が来ると、誰しもが
ブラック部署に配属されるかもしれないという恐怖にとらわれる
のです。
たしかに、ブラック部署に配属される候補は、だいたい絞られます。
地方公務員のキャリアパスには、何年か周期で古巣の部署に戻ってくる慣行があるためです。
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しかし、だからといってまったく安心はできません。
出先(しかも税務・財務とまったく関係ない部署)から財政課に異動した人を知っています。

※実際に異動してみたら、事業課よりもかなりホワイトでしたが、異動する前は、総務課に対して悪いイメージしか持っていませんでした。
毎年、異動の時期はブラック部署に配属されるかもしれない恐怖に怯えることになるのです。
公務員の異動はつらいけどメリットもある
ここまでは、公務員の異動のデメリットについてお伝えしました。
しかし、公務員の異動はデメリットばかりではありません。
当然、公務員が定期的に人事異動することには、良い面もあると考えています。
ここでは、公務員にとっての異動のメリットをお伝えしたいと思います。
2〜3年で全てが強制的にリセットされる
今の環境に満足していない人にとっては、人事異動によって定期的に強制リセットされる、というメリットがあります。
最初に説明した
- 人間関係の変化
- 仕事内容の変化
- 部署の変化
という、3つの異動のデメリットは、裏を返せばメリットになるのです。

仮に今の職場の人間関係が最悪だったとしても、将来の人事異動で素敵な同僚・上司に恵まれるかもしれません。
それから、仮にブラック部署に配属されたとしても、2〜3年後には脱出できます。
残業代の稼ぎ時だ!
と開き直ればまだ、2年間耐え忍ぶことだってできます(僕も実際に、総務課に異動になった時はそう考えるようにしていました)。
もちろん、変化によるストレスも大きいですが、人事異動によって定期的にすべてがリセットされることによるメリットも大きいと言えるでしょう。
長期休業がとりやすい
定期的に強制リセットされるということは、それだけ休業をとりやすいということも意味します。
どうせ2〜3年で積み重ねてきたことが人事異動によってリセットされてしまうのなら、いっそのこと休業しまっても何ら問題はありませんよね。
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たとえば、人間関係や仕事内容が固定化した職場だと、
同僚はどう思っているだろうか?
休業のブランクが復帰後のキャリアに影響しないだろうか?
なんていうことを気にして、なかなか長期休業を取れない人が多いのではないでしょうか?
一方、公務員の場合だとこのような心配はありません。
休業明けには
- 職場の顔ぶれ
- 仕事内容
なんて変わっていることがほとんどなのですから。
人によっては、休業明けに部署が変わることすらあるのです。
公務員にとって、長期休業取得のハードルは低いと言えるでしょう。
業務内容そのものは楽なものが多い
定期的な人事異動があることによって、楽な業務が多くなるというメリットがあります。
なぜなら、公務員の業務レベルは、2〜3年のジョブ・ローテーションを前提にしているからです。
研究職や専門職のように、高度な技術や知識を求められる仕事ばかりだと、定期的な人事異動そのものが立ち行かなくなってしまいますよね。
少なくとも、一般行政職に関して言えば、
- 高度な能力
- 専門性
を求められる業務はほとんどないのです。
最初は慣れるのに苦労しますが、一度おぼえてしまえばそこまで難しい仕事ではありません。

誰でもできるような仕事にたいして、小難しい小理屈をこねくり回して難しそうに見せているだけなのですね。
まとめ
今回は、「公務員の異動はつらい」というテーマについて解説しました。
この記事のまとめ
公務員の異動がつらいのは、主に次の3つの理由による。
- 人間関係をゼロから構築する必要がある
- 仕事をゼロから覚える必要がある
- ブラック部署に配属されるリスクがある
一方で、定期的な異動によって次のようなメリットもある。
- 2〜3年で全てが強制的にリセットされる(たとえ今の環境に満足していなくても)
- 長期休業がとりやすい
- 業務内容が楽なものが多い