
本当です。
多くの公務員は、出世したくないと思っているのではないでしょうか?

この記事では、現役の地方公務員である僕が出世したくないと思う6つの理由について詳しく解説していきたいと思います。
目次
地方公務員の僕が出世したくない6つの理由
実際に出世している幹部職員の姿を間近に見ていると、地方公務員として出世することに何のメリットも感じないのです。
理由① ブラック部署から一生逃げられない
僕の勤務先である県庁では、激務の部署を一度経験して出世した人はまたその部署に戻ってくるというジンクスがあります。
激務の部署として代表的なのは、財政課・人事課・秘書課・総務課など、どこも出世コースの部署ばかりです。
これらの部署が所管している予算・人事・秘書の業務は超特殊で、経験者でないとすぐに即戦力として使えないのが現実です。
普通の部署で培った一般的な事務処理能力などではとうてい対処できない、汎用性の低いスキルで塗り固められた仕事なのです。
まさに一子相伝なので、県庁での後継者が不足する中、経験者をまた呼び戻すというのが最適な人材配置なのです。
もちろん、財政課・秘書課・人事課・総務課に配属されたからと言って、ずっとその部署に留まるということはありません。
昇格のタイミングで、出先や本庁のぬるい部署に一旦は異動します。
しかし、そんな脱出の喜びもあっという間です。
「使い勝手がいい経験者」とすでに認識されてしまっているので、また元の激務の部署に引き戻されてしまうのです。
仮出所のようなイメージですね。
しかも、「県庁刑務所(仮称)」の理不尽なところは、実際の刑務所と真逆で、模範囚であればあるほどまた刑務所に戻ってきやすいということです。
途中で「やっぱこいつ使えねーわ」と出世コースを外れでもしないかぎり、一生で激務の部署を転々とさせられてしまうのです。
理由② 相対的な収入が下がる
地方公務員として出世すると、相対的な収入が下がる場合があります。
若くして管理職員になった人が忙しい部署に配属されると、部下よりも給料が低くなるという収入の逆転現象が起こってしまうためです。
出世コースにのぼると、激務の部署をグルグルと異動させられつづけるため、残業することがデフォルトになってしまいます。
しかも、管理職になると管理職手当が支給されるかわりに、残業代がつかなくなります。
こうなると、もはや合法的にサービス残業しているのと変わりありません。
例えば、課長補佐になりたての場合、いくら残業したところで管理職手当しかつかないため、主査としてたくさん残業代をもらえる自分の部下の収入が上回ってしまうことがあるのです。
若くして出世コースを歩み続けて管理職になってしまうと、相対的な収入が下がるというリスクがあるのです。
理由③ 仕事上の支出が増える
地方公務員として出世すればするほど、対外的な業務のウエイトが増してきます。
対外的な業務とはつまり、関係団体や地方議員との飲み会などの付き合いの仕事のことです。
もちろん、 オフィシャルな飲み会については交際費といわれる必要経費が用意されています。
しかし、当然、1次会で終わる飲み会だけではありません。2次会3次会ともなれば、自分のポケットマネーから会費を払わないといけなくなるのです。
交際費の支出に関する規定や公務員倫理の規定上、2次会以降の参加費用を公費で支払ったり、相手方からおごってもらったりすることは何かと問題があるのです。
さらに、外部との付き合いだけではなく、部下を連れて打ち上げをする時にも、幹部職員として多めに払わなくてはいけなくなるのです。
通常、職場の飲み会では会費の負担が傾斜配分されることがほとんどです。
部長10,000円、課長6,000円、課長補佐5,000円、一般職員3,000円
といった具合に。
出世すればするほど、仕事上の付き合いの支出は確実に増えていくといえるでしょう。
理由④ 責任ばかりが増える
他の組織と同じように、地方公務員でも出世すると責任ばかりが増えます。
出世すればするほど、自分の監督者責任が及ぶ範囲が広くなってくるのです。
部下の事務処理に不手際があった場合、監督責任不行き届きで厳重注意、場合によっては減俸などの重い懲戒処分を受ける可能性が増えてきます。
また、職務外においても監督者責任を問われることがあります。
長期休暇中に部下の職員が酒気帯び運転で検挙された
通勤中に部下の職員で痴漢で逮捕された
恥ずかしながらこういった地方公務員の不祥事に関するニュースをよく耳にします。
このような場合、自分が全く関知していない場合であっても、処分こそ重くはないですが、管理職として責任を問われることもなきにしもあらずなのです。
出世すればするほど、仕事上における部下の失敗だけではなく、プライベートの時間にも監督責任不行き届きが問われることもあるので気が休まることがありません。
理由⑤ バッシングをもろに受ける
出世すればするほど、批判の矢面にたたされることが多くなります。
地方公務員として出世すればするほど、マスコミや議会と対峙して組織を守っていく立場になるからなのです。
幹部職員になればなおさら、議会やカメラの前に立って批判と直接に向き合うことが多くなってきます。
マスコミや議会が何かにつけて県庁をバッシングをするため、県庁職員として出世するためには強いメンタルが必要とされるのですね。
こちらの記事でも詳しく説明していますのでぜひどうぞ。
人の上に立てば当然、県庁の顔として自らが批判の集中砲火を受けることになってしまうのです。
理由⑥ 出世すると妬まれる
出世すると謎の妬みを買うことが多くなります。
あいつは自分より若くして出世している
あいつは知事のお気に入りだから出世しているに違いない
このようなに根拠もなく人を妬むような人たちに囲まれていると、とても仕事がしづらくなります。
たしかに、一方的に妬んでくるようなくだらない人間なんか普通であれば相手にする必要なんてありません。
しかし、組織の大多数を占めるのはそのような低俗な人間がほとんどです。
彼らと関わりながら仕事していくことは、出世コースを上り詰めていくためには避けては通れない道なのです。
財政課・人事課・秘書課・総務課の職員であるという理由だけで、よくバッシングされるものです。
僕が事業課にいた時、仕事ができないことで有名な定年間近の主査が、よく財政課や秘書課の悪口を言っていたのが印象的でした。
また、総務課に異動になってからは、自分よりも1周りも2周りも年齢が上の人に仕事の指示をする立場にあったのですが、やっぱり非協力的な人が多かったです。
出世すればするほど、他人から謎の妬みを買いやすくなってしまうため精神的によくありません。
地方公務員としての出世はただの名誉だと思う
僕はこのように地方公務員として出世することにはデメリットしかないと考えていますが、一方で、出世することにはメリットがあるのでしょうか?
地方公務員として出世することの実質的なメリットはなく、ただの名誉しかないと考えています。
将来の県政を担うエリートなんだから頑張れ
総務課に異動してから、そのような実態のない名誉感情を周りの先輩から植え付けられて、非人間的な働き方を強いられてきました。
まるで、少年兵のようです。
もしかしたら、僕みたいな人間には到底理解できない、何か崇高なモチベーションに突き動かされて昇進レースを歩んでいるのかもしれません。
しかし、普通の人間にとって、地方公務員として出世コースを進んで若いうちに管理職になるということには何の経済的メリットもないのです。
出世して管理職になったりしなくても、ただ公務員としてあり続けること自体にメリットがあります。
要するに、「仕事ができない定年間近の主査」が最強ということです。
おわりに
今回は、地方公務員である僕が出世したくないと考える7つの理由について伝えしました。
地方公務員として出世することには何のメリットもないことが理解いただけたでしょうか。
しかしながら、出世さえしなければ地方公務員になること自体はとてもメリットのあることだと考えています。
地方公務員になるメリットについては、こちらの記事で解説していますので興味のある方は是非ご覧になってください。